好きだよ

4/4
前へ
/72ページ
次へ
カシャン。 フェンスを握る指に力が篭った。 なんでそんな事言うんだよ。 なんでそんな事聞くんだよ。 「………ふ、……ぅ」 涙が溢れた。 今度から、あの人が黒髪の可愛い人と並んで歩くのを見なくちゃいけないんだ。 辛いけど。 辛いけど。 「、……ッ」 「何?」 「えっ……ぅわっ!」 天に向かって涙まじりに名前を呼んだら、後ろから突然抱き締められた。 「お前さー、何で泣く訳?」 「な、泣いてなんか……っ」 「言いたい事、あるだろ?違う?」 「…………」 耳の奥で、彼の声が響く。 ずるいよ、あんた。 「………っ好き………!」 「うん、俺も」 「う、そ………」 「嘘言ってどうするよ」 ふふっと彼が笑い、肩口に顔を埋められたら、余計に涙が出た。 「あの人は………?」 「ん?断ったよ。もちろん」 「何で……?」 「何でって………聞いて無かったの?」 そのままぐるりと回されて向かいあうと、彼は見た事もない最上級の笑顔で。 「お前が好きだよ」 end ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 珍しく学園ほのぼの。 ほのぼのとか甘々とか苦手です。  
/72ページ

最初のコメントを投稿しよう!

489人が本棚に入れています
本棚に追加