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月が、僕らを微笑った気がした。
【悲しい結末と】
コツコツ、と窓を叩いたら、清潔そうな真っ白なカーテンが揺らめいて、次いで笑顔の君が現れた。
「もうっ!危ないって言ってんのに」
「でも嬉しいだろ?俺に逢えて」
「…………うん」
素直にコクンと頷く君の頬はうっすら紅く色付いていて、酷く可愛らしかった。
真っ白な部屋。
真っ白なベッド。
腕に付いた針がなければ、まるでそこは白い牢獄のようだと思った。
「猿みたいだよね」
「俺?」
「うん」
クスクスと笑う君は、なんて華奢なんだろう。
「普通しないよ?木に登って窓から入るなんて」
「前漫画で読んだ。やってみたかったんだよなー」
少し誇らしげに胸を張ると、また君は困った様に微笑った。
月の光が君の顔に反射して、儚いのにとても綺麗だと思った。
「ちゃんと飯、食べてる?」
「……食べてるよ」
嘘。
だって君は、こんなに細くなった。
手首にそっと触れると、崩れて壊れそうな華奢さ。
ぐっとこみあげるモノを抑えて、君の白い指に指を絡めた。
握りかえされる温かさ。
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