悲しい結末と

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    「ほら、お前行きたいって言ってたやつ」   「あ!ありがとう!」   前に君がテレビを見ながら呟いた観光地。 此処から遥か遠い南国の地のパンフレットを、君は大事そうに手に取った。     「もう、飛行機とか調べてあるし。後はお前が」   「ありがとう………楽しみ」   ふふっと笑う君は、やっぱり儚くて。 もう、離れたくなかった。            「今すぐ、行こうか」   「え?」   「そこ。行きたいだろ?」      目を丸くする君に、真面目に問う。         だって、時間がない。                 「世界の中心で………」   「ん?」   「世界の中心で愛を叫ぶって映画あったじゃん?」   「……うん」   「なんだかそれみたいだね」               お願いだから、笑顔でそんな事言わないで。   あの話の結末、覚えてるだろう?         「あれとは……違うだろ」    「……うん。そうだね。ごめん」         窓枠に掛けてた腰を浮かせて、君の前に立つ。   「……帰るの?」   「ん。お前夜更かしさせらんねーし」   「平気なのに……」   「だぁめ」       少し屈んで、君の唇に優しく口付け。 ふっくらした唇は温かくて、嗚呼、生きてるって思った。       「しっかり寝て、しっかり食べて、早くこんなトコ出ろよ。一緒に行くんだろ?そこ」   「っうん!」     パンフレットを指差して、じゃあなと窓から抜け出した。     「また明日」   「うん。また明日」             太い木を乱暴に降りて、幹の所に蹲った。     「………っ……」     嗚呼、まだ君が窓から見てるかも知れないのに。   「………ちくしょう……っ」     頬をしょっぱい水が伝う。        約束なんて、果たせぬ嘘。    もう、先が見えない君へ。                  君の最期がどうか幸福でありますように。                     嘘吐きな僕をどうか責めてください。                 end ーーーーーーーーーーーーーーーーーー       暗い(爆)       世界の中心で愛を叫ぶ、相当泣きました(。・_・。)ノ
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