artless days

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県立三崎高校。県内にある偏差値60程度の平凡な県立高校の一つだ。コの字形の校舎とその奥に広がる校庭。今の時間帯だと昇降口には部活動終わりの学生や、部活に入っていない学生の通学時間が重なり、中々に騒々しい。 特徴の無いこの高校に、在籍する三百人以上の男子。その全校の男子の中で一際目立つヤツが、教室で静かに読書をしていた。 決して服装等で目立っている訳じゃなく、ましてや俺みたいに素行の悪い方向で目立っている訳じゃない。全てはコイツの顔にあった。 緩いパーマに、キリッとした眉、整った輪郭。身長も185㎝と高く、そんでもって顔が小さく首が長い。完璧な顔立ちをより一層引き立てている。んだそうな(クラスメート女子談)。同姓としてコイツにこんな褒め称える言葉を使いたくない。まあ贔屓目無しに見ても容姿は端麗だからしょうがないとは思うけども。 「おっ、おはよう。どうした? なんか辛そうだな」 「おう、和樹。おはようさん」 そんな アマミヤカズキ 雨宮一稀の隣が俺の席。 萩本にやられた喉がまだ痛いからさすったまま席に座る。 「あんの馬鹿力が俺のここに斧ブン回したみたいな水平チョップかますんだぜ? 首吹っ飛んで二三回バウンドするかと思ったっつーの」 喉仏に親指で指しながら言い放つ。あのボリューミーな乳も常日頃のトレーニングの賜物なんだろうよ。 とか付け足すと珍しく一樹が笑っている。ホントに珍しい。 そこまで下ネタ好きじゃなかったはずなんだけども。まあとにかく、結局あれは天然物かなんて話でオチをつける。 「それは災難だったな。それで? その犯人は?」 「朝から生徒会の仕事なんだとさ。お忙しいこって。つーかあんなのが副会長だから治安が悪いんだよ」 「この学校の治安が悪いのなんて大概お前のせいだろ。それより」 話している最中から和樹の顔から笑顔が消える。眉を潜めながら原因を問いただす。 「ん? どうした?」 「後ろ」 脳天に衝撃。それだけに留まらず、額を机に打ち付けられる。
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