一大決心だったのに

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(畜生め、お前かっこよすぎなんだよ!) 「あたしは、あんたが、」 そこまで言いかけてあたしはまた閉口してしまった。ああもう無理、嫌、最悪!折っ角、無理言って友達についてきてもらった意味がない!喉まで出かかった言葉がまたしてもチャンスを逃し、胃の中へと逆流していく。 「…何、」 不思議そう(というかあからさまに迷惑そう)な顔して、あたしの顔をのぞき込んでくる。ああぁ!もう!何で、何でこいつこんなに優しいの(それにかっこいいしさあ)!いらいらが募ってくる、もう逃げだしたいけど…家まで押し掛けてきた癖にここで終わるなんて、だ。今まで何回言おう、と自分に言い聞かせ、何度失敗したことだろう。それもこれも全部あたしが意気地なしのせい、…かな? 「あ、えー、その、ねえ」 「ん」 「………、」 言えない、言葉が突っかかってうまく言えない。 『あたしはあんたがすき』 って、たった一行でたった5秒足らずで言えちゃう筈なのに、こいつの顔を見たら心臓がどく、と大きく脈打って顔が火照る。こういう時に思うんだ、やっぱりあたしはこいつが好きなんだなあって。  
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