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結局のところ、だ。
あたしは彼の家にあがってしまった、…とは言いつつも玄関までだけど。部屋にあがれ、なんて言われたけど意気地なしのあたしには到底無理な行動だ。というわけで玄関だ。うん、あんまりにも中途半端すぎだよね。
「…で、用事は何なの?」
散々話を遠回しにした挙げ句、やっぱり行き先はこうなってしまった。ああ、適当に話をしてさっさと帰るつもりだったのに、なんて後悔は今更だった。
「えあっ、あーっと」
…駄目だ。
再び言葉に詰まってしまう。
ぶっつけ本番というのはきついものがある、次回来るときには事前にイメトレでもしておいた方がいいかな。
Sくんは腕組みをしながらぼんやり。よくよく見ればとても綺麗な顔立ちしてるなあ、ぼぅとしながら見ていると「何だよ」とまたあからさまな迷惑顔で見てきた。でもそんな顔でさえ、うん、すき…かもしんない。いや、すきだ。きっとどうしようもないくらいに。
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