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「まぁ、いいじゃねえか。こんな所に逃げ込んだのはラッキーだったし。いいからお前は車呼んどけよ。さっさと【カラオケ】でもいってあったまろうや!な、お姉ちゃん!」
おウマのお兄さんに命令しながら、おサル顔のガテン系で短髪のお兄さんが私を見下ろしながら話しかけ、距離を詰めてくる。
…あわわ、間違いなく乙女の危機だよぅ…。
…ここは一か八か隙を見て逃げ出さねばっ!!
ジリジリ後ずさる私は、脱出のきっかけになるものがないか、コートのポケットをまさぐりまくる。
すると、ポケットの奥底に私のヘソクリでもある虎の子の五百円玉を発見した。
…これを奴のおでこにぶつけて、ダッシュで逃げる!
…そのためにもチャンスをつくらなきゃ…。
…うーん、ここはお色気大作戦(?)しかないな…!
作戦を決めた私は後ずさるのをピタッと止めて、大作戦を決行するべく上目づかいでお兄さん達を見ながら機を伺う。
「へっ、もう逃げないのかい。まぁ、悪いようにはしないし、案外病みつきになるかもしれねえからよ。ほら、手ぇだしな。」
と、私に手を差し出してくるおサルのお兄さん。
もちろん、こんなお誘いは百害、いや、億害あって一利なしの典型なのはミユちゃんでも分かりきってることだが作戦のため、あえて誘いに乗る私は手を恐る恐るだしながら呟いた。
「…あ、あの、私、さっき転んじゃったときに、携帯を落としちゃったっぽいんです…。探して…もらえませんか…?」
と、いかにも困ってますよぅ的に小動物を彷彿とさせるキラキラ目線(自分内部ではカピバ○さんを超えてます!)で訴えかけるが…。
「はぁ?元々持ってねえから逃げたんだろうがよ。お前、バカだろ。」
なんと返ってきたのは、私の最大級のお色気にかかるどころか、【おバカ】扱いする発言とは…!
当然のように、本能を司るスイッチがカチンと乾いた音を立てて入り、私は猛然とお兄さん達に噛みついた!
「な、なななななによぅ!おバカって言うなぁ、おバカって!!」
興奮してる私は地団駄を踏みながら言い返す。
しかし、これがお兄さん達の嗜虐心に火をつけたのは言うまでもなかった…。
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