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普通なら切羽詰まった場面で相手の気配だけをみて戦うなんてことは、無謀か達人級の行動だ。
しかし、昨日までの限界を超える戦いの連続が、私に変化を起こしていた。
この時はまだ新しい力の目覚めとは気づかなかったが、その兆候が現れ始めたのだ。
…相手の気配がわかる!
…っていうか、フルカラーでおウマの兄さんの気配や動きがハッキリ【イメージ】できる!!
…なんか、いつもと違うけど大チャンスだ!
危機的状況にも関わらず、明鏡止水の雰囲気を出す私を見たおウマのお兄さんは顔を歪めて叫びだす。
「なめやがって…。さんざん弄んでからゴミ屑のように川に沈めてやるっ!」
完全な犯行声明を上げながらおウマのお兄さんが突っ込んでくる!
それに対して私は素早く思考を展開し、迎撃を始める!
…持ってる武器の射程距離まで一秒…。
スタンガンを前に突き出して何の作戦もなく突っ込んでくる【イメージ】を感じ取った私は、素早く身を沈めて右に半歩移動すると、裂帛の気合いを込めて【棒っキレ】を振り抜く!!
「えぇいっ!!」
勝負は交錯するその一瞬で決まった。
まるで【居合い切り】をした後のように姿勢を正してる私の背後には、完全に【胴抜き】が決まったお兄さんが魚の活け作り状態で立ち尽くしていた…。
「…ぐっ…。」
そして私が瞳を開けて振り返ると同時に、静かに崩れ落ちるお兄さんのくぐもった声だけが雪の舞う公園に消え去っていった。
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