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何の力も使ってないのに、超人的な動きをする自分自身に嬉しくなってしまった私は…。
「よっしゃぁーーー!!」
置かれてる状況も忘れて、倒れてるお兄さんを見ながら軽く飛び跳ねてガッツポーズをして喜んでいた。
…スゴいぞ、ツヨいぞ、私!
…なんかアイツみたいでカッコヨいのでは!!
…よしよしよし、この調子で…。
そう考えて振り返ろうとした瞬間だった。
「…やっぱりバカだわ、この女。」
突然かけられる声と同時に、後ろから体を羽交い締めにされ、ヒョイッと軽く持ち上げられてしまった。
「はわっ?はわわわわわ?!」
「…2人相手にしてんの忘れてたろ。まぁ善戦したよ、お姉ちゃん。…って、お前さぁ見た目より随分重いんだな。」
…な!?
…な、ななななんですとぉーー!?
不注意に対しての罰にはキツすぎる結果だけど、そんなことよりも【重い】の一言が私の怒りのメインエンジンに火を付ける。
「お、おおおおお重いっていうなーーーー!!」
「はぁ?騒ぐんじゃねぇよ。この隠れぽちゃ子が。」
「くぅぅっ、言うに事欠いて【ぽちゃ子】!?こ、このお~、ゴメンナサイって言って!一生懸命ダイエットしてる私にゴメンナサイを言いなさいっ!!」
明らかに怒るポイントのズレてる私に嫌気がさしてきたのか、ため息をついたおサルのお兄さんは、拘束してる力を強めてからドスを聞かせた声で囁く。
「…うるせえよ。すぐに仲間がくるからよ。って、ほら車のドアが閉まる音が聞こえたろ?いい加減に諦めろや。」
確かに言われたとおりの音が私達の真後ろから聞こえ、こっちに向かって複数の足音がズンズン近づいてくる。
「…さぁ、今日は楽しいX'masにしような。くくくくくっ!」
仲間の到着で勝ちを確信したのか、必要以上に後ろからギュッと力を強めるおサルのお兄さん。
もちろん、私にしてみればこれ以上のピンチはお腹一杯も良いところだ。
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