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私を挟む格好で両者が(主にお兄さんですが…)睨み合っている。
一応、私を巡っての戦いは当の本人の気持ちを蚊帳の外にして開始された。
アイツの何気ない呟きによって。
『…あまり人間さんとは関わりたくないんですがね。これも巡り合わせですか…。』
まるっきり緊張感のない、いつものアイツらしい言い草。
でも、言い終わる瞬間にかすかな異変が起きた。
アイツの体がまるでテレビのノイズのように一瞬ブレたのだ。
…えっ?
それは瞬間で何をされたのか、【人間】では絶対に感じ取ることが出来ない動作。
私でさえ【体がブレた】としかわからなかったのだから、一般の人間さんであるお兄さんにはまるっきり見えなかったに違いない。
ほんの、一瞬。
本当にまばたきをする間に、アイツは私を助け出して自分の背後に移動させたのだ。
…な、なんでアイツの背中が目の前にあるの?!
…こんな動き、【未来予知】でも使わない限り読めるわけがない…!
見た目のふつうさからは想像も出来ないアイツの行動に、私もお兄さんも驚きのあまり声もでない。
そしてその静寂を破るのも、数秒でこの場を支配してしまったアイツの、何気ないささやきだった。
『…残念ですが、女性に、しかも真輝さんにナイフを向ける方へ手加減する方法を僕は知りません。…さて、これでゆっくりと【先程のご質問と今後について】お話しが出来そうですが、どうされますか?』
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