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自分の仕出かした事に気付くはずもない私は、慌てながらユキさんのいる方へと歩き始めようとしていた。
近くにはアイツもいるし、すでに危険はないと感じていたから。
でもその予想は見事に裏切られることになる。
「…ぶっ殺す!」
突如として沸き起こったこの物騒な声と体が激しくぶつかるような音によって。
…な、なななにごとっすか?!
急いで振り返る私が見たものは、アイツに抱きつく格好で体を震わせているお兄さんの姿だった…。
…うそ。
衝撃、というにはあまりにヒドすぎる結末。
ここから見る限りでは、間違いなくアイツはあのお兄さんに【刺された】態勢のまま微動だにしないで立ち尽くしてるではないですか!
その光景は、普通に考えれば有り得ないことだけど、【アイツが死んじゃった】というイメージを私の中に焼き付け、感情を支配してしまった…!。
「うわぁぁぁぁぁ!」
この瞬間に、頭の中にあるいろんなエンジンが【怒り】に支配され、振り切れんばかりに回転を始める。
…アイツを…。
…アイツを刺しやがった!!
…許せない…。
…ゆるせるもんかぁぁぁぁっ!!
遂に怒りが振り切れてしまった私を中心に、真紅の光が凄まじい勢いで溢れ出し、右手に収束していく。
「…絶対に、絶対にゆるすもんかぁっ!!」
この大絶叫の瞬間、私の意識は完全に消え去ってしまった…。
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