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母親が餌を与え、以来縁の下に黒猫が住み着いたらしい。どういうセンスか知らないが、母親がその猫を『ニャンコ先生』と名付けた。たまにしか実家に顔を出さないのであまり面識は無かったのだが、その猫は私の事も理解してるらしく、特に逃げるという事も無かった。私の一家は父母私妹の4人家族なのだが、私は自立し家を出ているし、妹は昼と夜と仕事を掛け持ちしている為ほとんど居ない。ニャンコ先生は母のいい話し相手になってくれていたみたいだ。母はニャンコ先生に対し、エサを与えて甘やかすだけでなく、「縁の下で糞はするな」「夜中は鳴いちゃ駄目」「ゴミをあさるな」等しつけていた。猫の方も分かるらしく、言われた事の二度目は無かった。母が猫に話しかけると、猫も母から目をそらさずじっと聞いていた。もしかしたら本当に言葉を理解しているのかもしれないと思ったものだ。ある時私が近所へ買い物へ行こうと歩いて出掛けた所、猫も一定の距離を保ちつつ付いて来た。私が「すぐ戻るからええで」 と言うと、猫はプイッと向きを変えて実家の方へ帰って行った。やっぱり言葉が分かるみたいだ。ニャンコ先生が住み着くようになってから、明らかに母親は明るく元気になった。
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