2人(2匹)の独立戦争

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近所の人の話では昼間、ドンとトム君が道の真ん中で激しくやり合っていたらしい。 どうやら今までドンはトム君に束縛されて逆らえなかったらしく、トム君が住み着いている家の人がトム君にエサを与えている時しか自由な時間が無くて、その時はニャンキーの元に身を寄せていた。寝る場所もトム君が追い出すので、うちの縁の下でニャンキーにかくまってもらっていたみたいだ。 我が家だと2匹分エサがあるし、食事中は外敵から見張ってくれるからこっちへ来いとでもニャンキーがドンを誘ったのだろう。 かくしてトム君から自立すべく、ドンが挑んだみたいだ。今、こうしてニャンキーと一緒にいる所を見ると、身なりはボロボロになりながらもドンは自由を勝ち取ったのだろう。ドンにとっては名誉の負傷といった所か… 涙が落ちているのは腫れている目の方だけだった。痛くて触れないのだろう。腫れてない方の目は自分の手で時折拭っていた。
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