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「うちに最新型のアンドロイドを入れようと思うんだが」
夕飯の途中、突然そんなことを言われたら誰だって手を止めるだろう。
彼、ユウキ=ディラックも例外ではなかった。
「いきなり何、父さん」
突然の言葉に、ユウキは怪しげに目の前に座る父を見る。
「いきなりじゃないさ。ずっと思ってたんだ、うちにアンドロイドがいればいいなぁって。ちょうど会社からいい話が来たんだよ」
「最新型なんて、そんな余裕うちにあるの?」
いくら近年アンドロイドが普及したからと言って、最新型ともなれば容易に手が出せる額ではない。
「大丈夫よ」
嬉しそうな父に再び怪訝に言葉を投げかけると、キッチンから出てきた母が弾んだ声で言う。
「うちだってそこまで裕福ってわけでもないけど、それなりにはあるから」
そう言って母は、嬉しそうに席につく。
「……まぁ、父さんと母さんが必要だって言うなら別に構わないけど」
ユウキは箸を置いて立ち上がる。
「けど俺は、アンドロイドなんて要らない」
冷めた目でそう言って、リビングを出て行った。
*********
「……あの子、いつからあんなに冷めた子になっちゃったのかしら……」
「僕らがほったらかしにしすぎたのかもなぁ……」
二人は心配そうに、息子が出て行ったドアを見た。
「昔から手のかからない子だったからなぁ……ユウキは」
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