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(別に、アンドロイドが嫌ってわけじゃないけど)
自室のドアを閉めて、ユウキはため息を吐いた。
父と母、そして自分の三人が住むには広すぎるこの家。
確かに、三人では行き届かない部分もある。アンドロイドがいれば便利だとも思う。しかし。
(近すぎて……八つ当たりとか、するかもしれない)
近頃ずっと胸の中にある『想い』。
それはストレスとなり、その限界が近いことも彼は理解していた。
「父さんと母さんには、迷惑かけたくないしなぁ……」
今まで育ててもらった恩、というわけでもないが、もう『子供』を卒業し始めているユウキには、自分の勝手な感情で両親を困らせることは憚られた。
本人がどう思おうとも、やはり彼は『人間』なのだ。
*********
そして数日後、『最新型アンドロイド』がディラック家にやってきた。
「はじめまして。今日からお世話になります、ジュリアスです。よろしくお願い致します」
そう言ってアンドロイド――ジュリアスは、およそ機械で出来ているとは思えないほど流れるような仕草で腰を折る。
(声とか体を見る限り男なんだろうけど……女みたいなやつだな)
ユウキはボーっとしながらジュリアスを見ていた。
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