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「俺は、ただ……」
「うわっ?!」
少年が呟きかけたとき、背中に誰かがぶつかる。
体に当たった瞬間の、少し硬い感触と、小さいけれど独特の機械音。
(これは……アンドロイド、か?)
少年は無意識に振り向く。そして、ひどく驚いた顔をした。
なぜなら目の前のアンドロイドは、見たこともないほどに美しかったから。
人間では絶対にありえないような、綺麗な顔立ち。
キメ細やかな、白い肌。
男とは思えない、艶のある長い髪。
人間でもアンドロイドでも、こんな男は見たことがなかった。
「あの……大丈夫ですか?」
反応を示さない少年を怪訝に思ったのか、『ソレ』は問いかける。
(妙に大人びた声だ……。外見は俺と変わらないくらいなのに)
「あ、ああ……大丈夫だ」
「よかった」
少年が答えると、『ソレ』は本当に安心したように息を吐いた。
こんなに驚いたのは、何年ぶりだろうか。
いくらアンドロイドが人間に近くなったとはいえ、所詮はロボットだ。
感情はもちろん、事務的な表情しか出来ないと思っていた。
(でも……)
少年は、気付いてしまった。
『アンドロイド』という存在は、とうに彼ら人類を超えていたことを。
その日ぶつかった『ソレ』は最新型のアンドロイドだと、少年は後から知ることになる――。
to be continued...
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