act.1

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  「俺は、ただ……」 「うわっ?!」 少年が呟きかけたとき、背中に誰かがぶつかる。 体に当たった瞬間の、少し硬い感触と、小さいけれど独特の機械音。 (これは……アンドロイド、か?) 少年は無意識に振り向く。そして、ひどく驚いた顔をした。 なぜなら目の前のアンドロイドは、見たこともないほどに美しかったから。 人間では絶対にありえないような、綺麗な顔立ち。 キメ細やかな、白い肌。 男とは思えない、艶のある長い髪。 人間でもアンドロイドでも、こんな男は見たことがなかった。 「あの……大丈夫ですか?」 反応を示さない少年を怪訝に思ったのか、『ソレ』は問いかける。 (妙に大人びた声だ……。外見は俺と変わらないくらいなのに) 「あ、ああ……大丈夫だ」 「よかった」 少年が答えると、『ソレ』は本当に安心したように息を吐いた。 こんなに驚いたのは、何年ぶりだろうか。 いくらアンドロイドが人間に近くなったとはいえ、所詮はロボットだ。 感情はもちろん、事務的な表情しか出来ないと思っていた。 (でも……) 少年は、気付いてしまった。 『アンドロイド』という存在は、とうに彼ら人類を超えていたことを。 その日ぶつかった『ソレ』は最新型のアンドロイドだと、少年は後から知ることになる――。      to be continued...
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