act.2

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  「アンドロイドは、人間にとって必要不可欠だ」 彼らアンドロイドは、彼らの創造主である人物にずっとそう教えられていた。 その言葉の本当の意味が、どういうことかなど最初は知らなかった。 「お前たちはただ、我ら人間のためだけに動いていればいいのだ」 『博士』と呼ばれるその人物は、そう教える。 (だけど僕は納得がいかない) 彼は最新型アンドロイドだ。『博士』曰く、『最高傑作』だ。 それでも、彼の使命は人間のために動くこと。 (間違ってるよね、そんなの……) 彼はアンドロイドだ。 しかし彼は、その機械の身体にも心があると思っていた。 しかし彼は『アンドロイド』であって『人間』ではない。 どれほど「人間になりたい」と願っただろう。 どれほど「心がほしい」と願っただろう。 その度に彼は絶望する。周りは言う。 「まるで魂が宿ったみたいだ」と。 しかし彼は知っていた。 それは人間の言う『魂』などではないこと。 最新式の技術で組み込まれた、嘘の感情であることを。 「だから、僕は……」 人間になりたいのだ。 『本当の感情』が欲しいのだ。  
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