act.2

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  ある日彼がフラフラと街に出てみると、信号の前で人間の少年とぶつかった。 彼の設定年齢と同じくらいであろう少年は、彼を見て驚いたようだった。 しかし、振り向いた少年を見て驚いたのは彼だって同じだ。 すべてを見透かせるような深いマリンブルーの瞳。 光の加減で輝くようにも見える栗色の髪。 本人が本気になれば、いくらでも輝けるような気がした。 しかし、残念なことにその瞳はすべてを諦めたような色をしていて、今はその輝きも失われているようだった。 彼は、他のどんな人間とも違っていた。 ********* 彼はその日からずっと考えている。 少年は彼が持っていないものを持っている。 彼が出せなかった答えも、あの少年なら出せるかもしれない。  
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