誕生

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1971年7月7日午後13時30分 2970g 男子誕生 息はしていなかった。産まれ出た赤子は、臍の尾を首に巻き付けて全身蒼白だった… その当時にしては、設備の整った産婦人科だったため、蘇生に成功した。 保育器に入れられた赤子は、何事なかったようにスヤスヤと寝息をたてている。 赤子の仕事といえば、よく鳴き、よく眠る事だが、 この赤子は母親を困らせた。彼女は母乳で育てようとしたが、この赤子は母乳、粉ミルクでは足りなくなり、仕方なく牛乳を飲ませていた。ただひとつだけ 気掛かりなのが、全身がまだ 蒼かったのに、母親は心配していた。そんな心配をよそに赤子は、すくすく育ち病気一つしなかった。 赤子には、二人の兄がいた。六歳と二歳。特別 仲が良かった訳でもないが、悪い訳でもなかった。まぁ手のかからない事だけが、両親を安心させた。
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