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彼女は泣くのを必死でこらえてる様子で容体はどうかと問い掛けた、
油断はできないことを知ると黙りこくってしまった、
彼女もこの沈黙の住人になってしまったのだ、
僕はただただ後悔した、自分を責めた、できることならあの事故の前に戻りたいと願った、せめて意識が回復して
「元気だよ、心配させてごめん、もう大丈夫だから」
と言いたかった。とその時、
一瞬、―10秒程なのだが―目の前が真っ白になった、何かこの意識までもが消えてしまうかのような感覚だった、
元の映像に戻ると医者が深刻そうな顔で近づいてきて口を開いた、少し慌てているようでもある、
「容体が悪化しました、心搏数が低下してきています」
…どうやらこのこの不思議な意識が無くなるとき、それが本当の死が訪れる時なんだと思ったが、
そんなことよりもみんなのリアクションの方に目がいってしまった、
父親が泣きだしたのだ、母親もつづけて大声をあげる、それをみていた彼女は今まで僕が見たこともないような顔で泣いた、
時々意識がとぶ中で死ぬことの意味を知る、その残酷さを…
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