星降る夜

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「う~…キノ~‥寒い。」 「エルメス……僕のほうが寒いさ。」 曇りの無い夜空の下を、モトラドが走ります。 いつもよりスピードを落とし、時々空をチラチラ見やるキノと呼ばれた運転手にエルメスは『天気は崩れないよ』と告げる。 「いや。星だよ――流れ星さ」 「へぇ~………あっ!!今流れた‥気がする~」 気がするとか止めてよ、とハンドルを叩くキノ。 「エルメス…『人が死ぬ時に星が流れる』って言う人もいるよね?」 「いるね。それが?」 「じゃあ…戦いが起きたら堪らないね」 世界のあちこちで星が降るのが見られる―― 「そうかもね~……一つくらい落ちてこないかな♪」 「落ちてきたらエルメスなんて凹んじゃうね。…あっ!流れた」 「うそだぁ~!!」 「嘘じゃないよ~…また流れるかも。」 エンジン音に負けない1人と1台の声が、夜空の下を駆け抜けます―――
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