泣けない国

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「罪状」 ステージに上がった軍人が紙を出し、椅子に縛り付けられた男の罪状を広場全体によく響く声で読み上げて―…いくのかと思われましたが… 「公衆落涙罪…以上。」  3秒かからず。 「落涙……涙を落とすこと‥」 「…それでこの状況なワケ?それって‥―」 「決まりだからね…後ろの皆さんに聞こえちゃうよ。」            ここに集まった人の殆どは、男が何故こうなったのか理解しているのだろう。 キノ達の前、親の影でステージを見る子どもがしきりに『犬が‥犬が』と言いながら泣いています―― 大人達は誰も泣いたりしません―― ……ザシュッ― キノ達は国を出る少し前に真相を知りました。 あの男は4日前、飼い犬を事故で失った際に街中――ステージが造られていたその場所で、泣いた。 それが法に触れていると知りながらも……。     「キノはさぁ…さっきの国で暮らせる?」 「まぁね。エルメスは……泣くコト無いから関係ないか。」 「あ、なんか傷ついた感する~…あ、キノが泣いたことも知らない~!」 「ま、エルメスがそれを見る日は無いね~…」 「さいですかぁ~~」 まるで何もなかったかのように、今モトラドは平坦な道を騒がしく走っています。
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