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「はい、これ」
そう言って渡さんから渡されたのは、焼きそばだった。
「『奢る』って約束したからね」
私が呆然と焼きそばを見ていると、渡さんは笑いながら言った。
「あ、ありがとうございます!」
我に返った私は、渡さんにお礼を言った。
「どういたしまして」
そんな私を見た渡さんは、ニッコリと笑った。
「そういえば、まだ名前聞いてなかったよね?名前、何て言うの?」
「柳千里です!」
「千里ちゃんか…。可愛い名前だね」
私が元気よく言うと、渡さんは優しく笑った。
その笑顔を見て、改めて渡さんのことが好きだなぁ、と思った。
「俺さ、千里ちゃんに言いたいことがあるんだ」
ぼうっと渡さんを見ていたら、急に渡さんが真面目な顔になった。
「なんです?」
渡さんが真面目な顔になったから、私もつられて真面目な顔になる。
「俺、千里ちゃんのことが好きなんだ」
「…………え?」
渡さんの言ったことがイマイチ理解できなくて、私は充分な間をあけて、訊き返した。
「だから、俺は千里ちゃんのことが好き。俺と付き合ってください」
「……」
いきなりのことに、私は呆然と渡さんを見ることしか出来なかった。
「…どう?」
黙ったままの私を心配したのか、渡さんは私の顔を覗き込んできた。
「わ、私も渡さんが好きです!」
大きな声で言うと、渡さんはニッコリと笑った。
「じゃ、これからよろしくね」
「はいっ!」
コンビニから始まったこの恋。
大切にしていきたいな。
END
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