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「ふわぁ~~」
大きく伸びをしながら欠伸する。
春の朝陽は暖かくて早く動き始めないとついつい二度寝しそうだ……。
俺の名前は志野 要(シノ カナメ)。両親は一昨年に揃って交通事故で他界。
今は幼なじみもいる、親父の親友の家にお世話になっている。
「要ちゃ~ん!!起きてる~!?」
この声の主が幼なじみの藍沢 鈴(アイザワ リン)。明るく真面目な奴だけど結構天然。
青みがかった髪をいつものようにポニーテールにしているところを見ると、準備は終えているようだ。
「あぁ…今起きたよ。すぐに着替えて降りるな」
「わかった~。先に降りとくね♪」
鈴の返事を聞きながら皺一つない新品の制服に腕を通す。
着慣れないブレザーが、心なしか緊張感を高める。
着替え終えてリビングへと降りるとコーヒーのいい香りがした。
「おはよう要君。パンが焼けるのにもう少しかかりそうだから先に顔を洗ってきたら?」
この優しそうな、青い髪を鈴と同じ髪型にしてる女性は藍沢 若菜(ワカナ)。鈴の母親だ。
「そうします」
そう返事をし、洗面台へと向かう。
「よう、要!相変わらずスゴい寝癖だな」
この洗面台で髭を剃っていた黒髪の男性が藍沢 将(ショウ)。鈴の父親であり、俺の親父の親友だ。
「おはよーございます」
挨拶を返しながら寝癖直しを手に取る。
「今日が入学式だったか?制服似合ってるぞ」
将さんが去り際にそう言った。
「ありがとうございます」
俺は微笑みながら将さんの背中にそう返した。
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