こなゆきの街を歩く

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やけに寒い朝だった。   寝ぼけた全身に、強烈に残っているものを整理しながら、カーテンをあけると、見慣れた街にこなゆきが舞っていた。   ぼくは、ぼんやりと外を見ながら、彼女が何故、自殺をしたのかを考えていた。 遺書や日記が残っていた訳でもないので、どんなに考えて、もっともらしい答えをみつけても、それが真実であるかどうかは誰にも分からない。 ただ、きみは、あの自殺で、世の中に呑み込まれる事を、防いだ。 そこに、きみの意図があったにしても、なかったにしても、結果としてそうなった。     ぼくは、ゆきを見ていた。   あの街は、どこだったろうか。
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