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分厚い行装の机の上に並べられているのは、甘い臭いを漂わせる紅茶が4脚と僅かなお菓子の数々。
生徒会室を訪ねた二人の男女は緊張の色を見せながらもそれらを視界に入れる。
「蛇口を捻れば出てくる水道水を沸かして作った粗茶だ。口に合わなければ飲まなくてもいい」
「あ、ありがとうございます・・・」
緊張を和らげる為に言ったのだろうが、はっきり言って逆効果である。おまけに隣では
「私への嫌味ですか?」
等と引きつった笑いを見せる蘭。
「気にするな。客への礼儀だ」
そんな掛け合い漫才の最中、向かうソファに腰掛けた男子生徒は徐に口を開けていた。
「高等部2年の山北伊織といいます。あ、こっちは妹の伊吹です・・」
隣には童顔の女生徒が同じように腰掛けているが、『妹』と紹介されても彼女は口すら開かずにただそこだけにいる人形のようにも感じられるのは気のせいではあるまい。
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