第4話『手に入れしはその安堵』~前編~

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「ところでハニー、今ので報酬いくらぐらいなんや?」 「あん?」 朝日が昇りかけるのを感じ、四人はその足を学園内に進ませながらもそんな会話が続いている。 「報酬は君主次第だ。何も報酬の全てが金ってワケじゃねぇ」 面倒臭い仕草を見せながら、その先頭を歩く晶。 もちろん、塒(ねぐら)の生徒会室に足は向かっている。 「武具、武器、戦闘服、それらの場合だって多々あるんだ。残念だったな、牧師」 欠伸を一つかませば、視界に校舎の群れが見えてくる。 鳳凰学園、学園都市の中心部。 彼らの生活は今日も変わらずやってくる。 いや、変わらない生活を維持する為に晶は続けていくのだろう。 「ほなら、今回の報酬は何なんや?『仕事』っちゅーぐらいやから事前に契約でも交わしとるんやろ?」 「制服」 「…は?」 これは犬神と耶蘇の同時の感嘆詞だ。 「この制服、そろそろ限界でな。新しいのが欲しかった所なんだ」 よく見れば晶の着用する制服の端々は、度重なる戦闘のおかげで大分痛んでいるのがよく分かる。 汚れは洗えば済むだろうが、洗っても落ちない魔物の血痕の跡はさすがに抵抗があるようだ。 それに加えて、ボロボロとまでいかなくとも度重なる戦闘により見た目が貧相に見えてしまうその衣装。 生徒会長という地位に立つのだからその辺は身だしなみとしてちゃんとしておきたいのだろう。 「…制服、だけ?」 「そう言ってるだろ」 未だ顔を暗闇に落とす耶蘇を振り返れば、晶はだるい仕草で続ける。 「あんな雑魚魔物に金額報酬なんて馬鹿みてーだろーが。あんなのは北斗の下っ端でも相手に出来るだろ」 「つまり、会長が制服を欲しかったから安物を引き受けた…って事ですか?」 「御名答~~」 飲み込みの早い蘭に拍手を送った頃には生徒会室のバルコニーが見えてきていた。 「アカンわ、ハニー…、切ななってきよった」 「鬱陶しい同情はやめろ」 「犬神も何か言うたれやっ、健気すぎるやろ!」 「健気かどうかは置いておくとして」 「置くんかい」 「こいつはどうせ『与えられてねぇ』って言うだけだろ。今更頭痛ませても一文の得にもならねぇよ」 「なんだ、分かって来てんじゃねぇか」 珍しく理解をしている犬神に晶は驚きを隠せないようだ。
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