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「俺は『魔女候補』の一人ってだけだ。もちろん、他の二人も含めてな」
「ほなら誰がホンモンの魔女なんや?」
「伝記の魔女伝説を今のこの現実に当て嵌めるのがおかしいだけだ。ただ単に受け継いだ力や普通じゃない力を持っているだけで魔女扱いされているにしか過ぎねーよ」
冷たく言い放つ晶だが、耶蘇はそれでも疑問を続けていく。
「あの魔術っていうヤツが魔女の証なんやろ?選ばれた故の力やないか」
「違うな」
校舎目指して歩む足が止まれば、その場の空気も鎮圧していくかのような空間が展開されていく。
朝の冷たい風すらも止まってしまったかのような感覚。
その中で、晶は独り言のように呟いていた。
「…選ばれなかったんだ」
嘆きか、それとも憎しみか。
事情を浅くしか知らない彼らに理解などできた筈もない。
無論、晶とて理解してもらおうなどとは微塵も思っていないのも事実。
だからそれは、ただの独り言でしかなかった。
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