第0話:プロローグ

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ある日突然現れた影は、落ち着いた瞳でその姿を露にした。 黒い髪を闇に靡かせて。 黒い衣で包んだその身を大きく羽ばたかせる様に。 細く長い両腕を人々に見せ付けるが如く。 その華奢な体からは妖艶な臭いを出しては笑う。 『私は魔女だ。アナタ方の求める光として舞い降りた』 隣に携えた大きな獣に信頼を寄せ、尚も魔女は人々に光を指し示す。 魔女は見る。 堕ちた世界を。 怯えて止まない命達を。 魔女は言う。 私が世界の創始者だと。 魔女は語る。 私が世界を君臨する者だと。 魔女は伝える。 この世に命ある者全てを私が守ると。 魔女は笑う。 私が世界を変えると。 魔女は力を見せ付ける。 その指し示す光で世界を覆う。 魔女は叫ぶ。 調和の世の為に、この力はいつでもこの世界に在ると。 どんなに時代が流れようとも、この力は継承されるのだと。 『我の命は世界と共に』
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