第一話:二人の魔女・二人の継承者

4/65
前へ
/870ページ
次へ
そしていつもの日常だとばかりに、手に抱えた大量の書類を『会長』の机の上に豪快な音と共に置いては「次の仕事です」と催促した。 そんな頃に、扉の向こうで黄色い声が飛び交っているのを耳にする。 『きゃ――――っ!!北斗様と喋っちゃった―――ッ!!!』 『アンタFANクラブの奴らから殺されるわよッ!!??』 「・・ほら、黄色い声が」 いつもの事だと言わんばかりの態度だが、当の『会長』は頭を抱えてはボヤくしかない。 「あったまいてー・・」 「流石、女生徒から人気がありますね、会長。でも・・・」 蘭の可笑しそうな、そのくすっと笑う声に気づいたのか、『会長』と呼ばれる人物はまた椅子を動かしては正面を向く。 「女の子なのに」 椅子に乗ったまま振り向いた姿は、太腿まで長い黒ソックスを穿いたスカート姿。 制服である短いスカートを穿いていても、大概が『男』だと言われるか、さっきのように『男っぽくて恰好いい』と女生徒の憧れの的になるかのどちらしかない。
/870ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加