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「神は万物を与えねーんだよ」
鳳凰学園高等部1年にして高等部生徒会長。
頭脳明晰・運動神経抜群。
そんな彼女の名は――――『北斗晶(ほくとあきら)』と云った。
「・・これは?」
晶から手渡された一枚の書類に目を落としては蘭が訊ねていた。
「”要注意人物リスト”に加えておけ」
そこに記されているのは一人の人物についての詳細だった。
「・・・”魔女の力”ですか?」
だが晶は何も答えず、ただ一言だけで蘭を促す。
「―――客が来るぞ」
その言葉と同時に、生徒会室の扉をノックする音が小さく響いていく。
目指す場所もなく彼はただひたすらに走っていた。
分かるのは此処が森林の中だという事ぐらいか。それでも『追ってくる者』から逃げるようにただひたすらに走り続けては酷く息が荒い。
この都市に入れば少しは追っても少なくなると思ったのが間違いか。
「っ、はぁっ、はぁっ・・!」
吊り上った両目、逆立つ白い髪、毛の中で獣のように尖った耳。
そんな容姿な彼は少なくとも『人間』には見受けられないが、彼は何かを求めて跳躍のある足を急かしている。
「魔女よ、助けてくれ・・!」
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