社長の椅子

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一方、俺らSPAIRALの人気は上がり、若者たちのカリスマ的存在になっていった。     どこで調べたのか熱烈なファンの子らが押し寄せてマンションの下で俺を待ち伏せされるようになった。     日増しに待ち伏せするファンの数が増えていき、そのことで近所から苦情が度々来るようになった。     このままだと家族やマンションの住人にも迷惑がかかる。     俺はこの家を出て一人で暮らすことに決めた。     そのことを母に言うと、初めは反対したが、車で出かける時危ない思いをしたことがあって、渋々引っ越しを承諾してくれた。     「月に一回は必ず顔を見せる」を条件に。     応援してくれるファンはありがたいけど、他人の迷惑を考えないファンはファンじゃない。     ファンに支えられて、今までやってきたが、ファンのせいで家族がバラバラに暮らすこととなった。     僕はピクターから一番近くて夜景が一望できるマンションで暮らし始めた。     広いリビングと寝室のある部屋。     ここでメンバーみんなと過ごすことも多くなった。     大きな液晶テレビとソファしかない部屋。
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