第1章 狙われた男

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 1週間前、友人の北川裕史(21)から電話がかかってきた。 「やあ、飛高、久しぶり」 「北川か、どうしたんだ?お前が俺に連絡してくるなんて珍しいな。一体何を企んでるんだ?」 「まあ、そう言うなよ。ところで、来週の日曜日は暇か?」 「ちょっとまってくれ」  そう言って俺は、手帳をパラパラとめくった。 「とりあえず、今のところ予定は入ってないな」  俺は手帳を片手に答えた。 「だったら、写真を見に行かないか?」 「写真?」 「そう、兄貴の会社の人が写真で賞をとったお祝いがあるんだ。写真好きだろ?」  「まあ、興味はあるな」 「じゃあ、決まり。来週の日曜日、朝9時、迎えに行くから。じゃあな」 「ちょっ、まてよ。そんなこと勝手に決めるな!」  ツー ツー  北川は俺の気持ちなんてそっちのけで、一方的に決め、電話を切ってしまった。  そんなわけで、1週間後、俺は北川と出かける羽目になってしまった。
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