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「疾風(しっぷう)」
ビルティーナが言うと、屋根をコルツフートに対して放った緑色の球体が、コルツフート目掛けて飛んでいった。
「くっ!」
コルツフートは剣で斬ろうとするが、斬れずに、その緑色の球体はコルツフートの腹に命中した。
「なっ!?」
コルツフートは感じた。風に押されている、と。
そして、飛ばされて近くの建物に衝突した。
「私は“疾風の織姫”」
そう呟きビルティーナはコルツフートへと歩み寄る。
「くく……」
コルツフートは口元に笑みを浮かべていた。
「何がおかしいの?」
「さっきの、なしだ」
どちらか攻撃を受けてしまった方が負ける、とコルツフートがビルティーナとしたあれだ。
「本気でやろうか、“疾風の織姫”」
ビルティーナは近くの屋根に跳び、コルツフートもビルティーナとは違う建物の屋根に跳んだ。
「“無音の響き手”様ぁ!」
誰か……、様付けということはコルツフートの仲間だろう。そいつらがやってきた。
「ちっ」
コルツフートは舌打ちをすると、屋根から跳び下りた。
「なんだ。“晶活(しょうかつ)”、“葉緑の狩り手(ようりょくのかりて)”」
コルツフートの仲間らしいそいつらは、一人は黒いスーツを着ていて短く緑色の髪で、顔は幼いが背はビルティーナより高い男。もう一人は緑色で軽そうな戦闘服に、髪は緑色でポニーテールで結(むす)んでいて、顔は大人びていて綺麗な女だった。
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