ダチ

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ダチ

 『何したのや』    降りて来たのはいかにも自分で  脱色したようなまだらな金髪の  女だった    『え…チャリパンクしたみたいで』    アタシが答えると    おもむろに自転車を覗き込み  空気の抜けたタイヤを触った    『ああパンクかあ~』    バイクに乗ったままのもう一人に    『カズ、うちの親父呼んで来て』    カズと呼ばれた奴は頷くと  すぐに行ってしまった    固まっているアタシに    『アンタうちの斜め向かいに来た  コだよね』    一瞬意味が解らず首を傾げた  アタシに    『近所なんだってば』    滲むような笑いを向けた    『アタシレイコ16だよ』    それが引越してから  初めての友達になるレイコとの  出会いだった  
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