【第一章】ミルサとの出会い

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―――ワァアアアア 勝負がついたというのに、まだまだ闘戯場の熱気は醒めやらない。 「……ふぅ」 ロベルトは闘戯場のバトルエリアから延びる客の花道を、場内の生活エリアに向かって歩いていく。 「――ちょっとアンタ!どーしてくれんのよォ」 ふと、花道の途中で少女の声が聞こえた。 (……なんだ?) ロベルトは声の主が気になり、声のする方へと視線を向けた。 この闘戯場の客層は金持ち貴族か、物好きしかいない。  そんな中、その声は明らかに幼い少女の出すそれだったからだ。 大男や貴族の男達の間から、ぴょこんと飛び出したその声の主を見て――彼は驚いた。 ボサボサの長さが揃っていない……だが上質の金の髪、瞳は翡翠の宝石にも似た美しいエメラルドグリーン。 身体付きは華奢で、……だが着ている服は所々に薄い汚れが付いていた。 (孤児、か) ロベルトが冷静に分析するその横で、少女はロベルトをギロリと睨んでいる。 「アンタのおかげで、せっかく稼いだお金がパーだわよ!一体どうしてくれんのよ、このオトシマエはっ。負けると思うじゃん……あんなボロ剣じゃ、ジャガ芋ひとつ切れないじゃないのよ。何で勝っちゃうワケ?」 (――うるさいな) 「生活がかかってるトコ悪いが、八百長の相談は受け付けないからな」 ロベルトがそう言うと、少女は肩をワナワナと震わせた。 「…あんたなんか負けちゃえばいい!!!」 ―――バシャァアア! 少女はそう叫ぶと、手に持っていた真っ赤なトマトジュースをロベルト目掛けてぶちまけた!
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