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私から見える金魚ちゃんはもう動いてはいなかった。それでも私はつま先立ちで破片を避けながら金魚の元へ行った。
「遅くなってごめんね」
私は動かなくなった金魚を水槽に入れた。
すると、その金魚は泳ぎだしたのだ。
金魚も全員無事だ。
私と犬は両親のいる2階の部屋へ向かった。
両親はただ呆然と外を見ていた。
夕日に包まれたような赤い街を。
夕日ではなく火事だ。
私たちの住む辺りは家も潰れていなかった。
しかし、駅辺りが真っ赤な火に包まれていたのだ。
そう、阪神大震災だ。
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