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母は避難するべきだと主張した。
それは、一ヵ所崩れると連動する可能性があるからだ。
車庫で大人が集まってプチ会議していた。
異様な光景だ。
ほとんどの家が夫婦揃って会議に出ていた。
しかし、私の家は母だけだった。
私はこの時少しスネ始めていた。
それは私の所だけお父さんがいないからだ。
結局、土砂崩れはなさそうだ。避難はしない。
そう決まった。
母はかなり不満そうだ。
昼
母とご飯を二人で食べた。
テレビを見ながら。
2時を過ぎ、ゲームに飽きた頃だ。
「ドーン」
と、下から突き上げられるような音がした。
母は慌てて私を抱いた。
私も怖くて目を瞑った。
恐れていた崖崩れだ。
静かになった。
私たちは外に出た。
崖が崩れていた。
一軒の家の上に。
そうその家は避難した唯一の家だ。
私は感じた。
こんな時にどうして
私のお父さんはいないの?
家族と仕事どっちが大切なの?
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