届かない手

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「ユリアを見た情報を手に入れたわ。それも悪魔と一緒にいる。」 「それで?」 「依頼内容がユリアを退治して欲しいそうよ。」 「……。」 「本当にやるの。」 「元々ユリアは、人間を毛嫌いしていた。それに…自分を悪魔と思ってる。」 「過去を知った上の判断かしら?」 確かにユリアの過去は、酷い過去だ。 聞かされた時、ユリアが人間を恨み…毛嫌いするのも分かった。それも実の母親の虐待の故だ。 優しい父親を亡くしてからずっと耐えて来た過去の記憶。 俺と違う過去を持つユリアに惹かれた。 守ってやろうって誓い、口付けを交わしたのに果たせなかった。 俺達が歩む道は、残酷過ぎる選択の道だ。 「準備は出来た。」 「じゃ、行きましょう。」 「ああ。」 「場所を案内したら後は、貴方が決めなさい。」 「……。」 「殺すか、生かすか。」 事務所の扉を開けてレディがそう言い外へ出ていった。俺は、迷いなく…小さい蚊の鳴く声で呟いた。 「殺すさぁ。悪魔なんだ。」 END
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