神話時代

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 玲旺は大変な事に遭遇していた。  昼休みになると聖世はフラフラと教室を出ていった。 今の玲旺にそんな聖世を追う勇気も気力もなかった。 玲旺は複雑な立場にいる自分に気がついていた。  アテナの存在が出てきた時から気が付いていた事だが、その可能性が玲王を悩ませていた。 アテナが従うのは父神であるゼウスだけのはずだった。 だが、ゼウスは今、こちら側の司令官である。 間違ってもアテナが今やろうとしている事に加担しているとは思えない。 むしろ、この学校に聖世と玲旺を送り込んだ事実から見ても、アテナ達のやろうとしている事を阻止しようとしているのだろう。 となれば、必然的に黒幕は誰だ?という事になる。  しかし、玲旺にはもう一人だけアテナが従う可能性のある人物に思い当たったのだ。 その人物と敵対する事に玲旺は躊躇わずにはいられなかった。  ゼウスも黒幕の正体を知っているのだろうか? 知っていて聖世を敵と対峙させようとしているのか?  もし、そうなら正気の沙汰とは思えない。 ゼウスは聖世を殺す気なのか? 所詮、怪女の命など軽いとでも思っているのか?  それならば、聖世をこの件から手を引かせたいと思った。
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