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「俺は教室に戻るよ。じゃあな」
隼人の言葉にも玲旺は反応を返す事は出来なかった。
呆然と隼人の言葉を噛み締める。
隼人の言葉が本当ならば、聖世は昼休みにこの教室を後にした時からサボる事にしていたって事だろうか?
あの聖世が?
自分の席に戻り、四時間目の本鈴を聞いても玲旺は呆然としていた。
授業中も抜け殻のように聖世の事だけを考えていた。
玲旺は信じられない気持ちでいっぱいになった。
聖世は今まで、転校や引越し以外の用事で学校を休んだ事はない。
小、中学校は皆勤だったほどだ。
玲旺が思うに、聖世は学校に通う事を自分の義務だと思っている。
ゼウスに与えられた仕事にしても文句一つ言わずに真剣にこなすのは、自分の生きる意味を見出す為のように玲旺には映っていた。
前世では叶える事が出来なかった、生きていく事の意味を見出す為に、聖世は一生懸命仕事に学業に専念している。
その聖世が学校をサボってまで何かをするつもりだった。
そこまで、今回の仕事に焦りを覚えていたのだろうか?
その事に気付かなかった自分。
最近、聖世を避けていたのは事実だ。
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