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ガタン、ドサッ
椅子ごと知景は横向きに床に倒れてしまった。
それに巻き込まれた織葉。
下敷きになりそうになった彼女を、どうにか頭だけは腕を回し守った。
「いったー」
「………怪我、無いですか?」
知景は肩を思い切りぶつけたが、同じように肩を床に叩きつけた織葉の無事を確認する。
「どこもかしこも痛い!!」
怨みがましそうに涙目になって見上げてくる織葉に、
「それだけ怒鳴れれば大丈夫ですね」
と静かに言う。
「それに、だいたい織葉さんが止めないからじゃないですか」
「だーって、ちーちゃ――」
「『ちーちゃん』は止めてください」
「――知景がいつまで経っても慣れないのがもぅ、楽しくって楽しくって」
自分の身体の下でにっこり笑う彼女の首を、このまま締めてしまおうかと思ったが寸前のところで思い止まる。
「ところで仲森知景くん」
「はい?」
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