挨拶の後はドッキドキ!?

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楽しいSchoolLifeの過ごし方     私立王子学園 小、中、高、大学一貫で、超お金持ち男子学園として有名なこの学園。 超がつく程貧乏な俺には、絶対に縁の無い学園だと思っていた。 だけど4日前… 『…は?俺が、王子学園に…ですか?』 校長にいきなり呼び出され、告げられた言葉に信憑性があるとはとても思えなかった。 「あぁ、向こうの理事長がどうしてもと訊かなくてね、君がお金の事で苦労してるのは解るのだが…どうだろう?」 『どうだろうも何も、俺授業料さえも払えないですから。』 「しかしね…王子学園の理事長が、君が生徒会の仕事を手伝ってくれれば、君の学費や生活費を全て免除すると言っているんだよ。アパート暮らしだと色々と面倒だろうから、王子学園の寮で暮らして欲しいとのことなんだ。だから頼む、私からのお願いだ。」 『っ、校長…』 王子学園は日本一の権力を誇る姫神グループ財閥の社長が建てた学園で、断れる方がおかしいというくらい絶対的な権力を持っていた。 勿論校長も、俺も断ることなんか出来なくて、転校手続きをすることになった。 両親も居なくて、身内に捨てられて孤児院で過ごした俺には、とても厳しい話ではあったけど…全てのお金を免除してくれるという話なのだから、王子学園へ転入するしか余地は無い。 唯一の断る理由も、断ち切られてしまったのだから。 そんなこんなな事情で、残りの春休みはドタバタしていた。 制服も勿論間に合うはずが無く、俺は転入前の学校の学ランを着て、今ここの王子学園の地に立っている。 『まだ時間あるし、探検しようかな…でも、あんまこの格好でウロウロすると怪しまれるかなー?‥……けどこの学校広過ぎでどこがどこだか解んないし、やっぱり見て回るしか無いよな。』 そんな独り言を繰り返しながら歩み始める俺、咲麻静。高校二年生。 今まで普通の人よりも貧乏な暮らしを続けて居た俺にとって、この学園は凄く新鮮なものだった。 『ここが第三校舎で、職員室も此所っと…』 「…さくま せい?」 名前を呼ばれて振り返れば、そこには銀色の長い髪をした長身で綺麗な男の人が立っていた。 『そ、そうだけど…』 答えるなり、いきなり腕を掴んで何処かへ連れて行かれる。 …オイオイ、転入早々喧嘩か? 否、それは無いよな。未だ俺始業式で紹介されても無いし。      
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