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無駄な頑張りと欲の無さ
5階に着いて、エレベーターから降りた。
長い廊下は、一見普通のフローリング調。扉は全室清潔感をモチーフとした白が基調だ。
俺達はエレベーターから一番近い部屋へと移動した。
扉を開くなり、別世界。
正直目眩がした。
俺が使っていた2Kの部屋が余裕で2つ入る…否、それでもこの部屋だとスペースが余るだろう。
大理石の壁に光沢のあるフローリング(掃除しやすそうだよな)、天井にはシャンデリアが吊してあり、ベランダの柵は綺麗で細かい模様が彫られていて見た感じ高級そうだ。
1室にどれだけ金使ってんだよとツッコミを入れたくなる。呆れた笑いしか出ない俺。
ベッドの方へ目を移すと、俺は目を丸くした。
汚れ一つない純白の布地に施された美しい刺繍の数々。
枕はというと…
「あぁ、そうだ。まだベッド一つしか無いから…」
ピンクの枕にYESの文字。青の枕にNOの文字…
…どっかで見た事あるんだよな。
『あの枕は…?い…いえす?』
「いえす?言うなぁ~お前…」
『はっ?な、何…?』
あの枕は何かはよく知らないが、悠李の口調からして俺は何か良からぬ発言をしたのだろう。
「だから、一緒に寝るか否かってこと。さっき言ってたの聞いて無かったのか?」
…聞いて無かったのでさり気なく誤魔化しに入る。
『何なの?アレ…』
「YESNO枕だ…知らないのか?」
『な…何でそんなもん…寮に置いてるんだよ…?』
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