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『お、俺は床で寝るから…』
胸の前に両掌を掲げて、遠慮という名の拒否に入る俺。
悠李はそんなことお構いなしといった感じで、有無を言わさぬイイ笑顔をこちらに向けて来る。
「風邪、引きたくないだろ?お前人に迷惑掛けるの好きそうじゃないもんな。…ルームメイトに迷惑掛けたくないだろう?」
…コイツ、完璧に俺の扱いをマスターしてやがる。
でも悠李の言った事は事実だ。…なんなんだ一体。悠李は読心術でも使えるのか?
益々関わりたくない。
「とりあえず、その段ボールの中の荷物片付けたら食堂行くぞ。食堂までの道程もちゃんと案内してやるから。…片付け、一人で出来るか?し ば ちゃん」
何とも意地の悪い笑みに、俺は煽られてばかりだ。
『これくらい一人で出来る!!』
「そ。じゃあ俺は着替えてるから、早く片付けろよ。」
機嫌を損ねた俺とは対照的にご機嫌な悠李。なんともいやらしい。
そんな気持ちを誤魔化すかの様に、俺は段ボールを開けて片付けに取り掛かった。
幸い、荷物は元々少なかったのであまり時間は掛からなかったが…
余裕の表情を浮かべて俺の片付ける姿を後ろから悠々と見つめてくる悠李に、心底腹が立った。
俺はあまり寛大な人間では無いのだ。それもこれも、全部親族の所為なのだが…
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