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ふらりふらりと足を運ぶリーリア。
彼女の目指す場所は、医務室だった。
「猟斗ぉ……猟斗ぉ……」
それは、すがりつくように、助けを求めるように呟かれる。
猟斗の名前を繰り返しに口からこぼしながら、リーリアは誰もいない医務室の前に辿り着いた。
――その頃医務室内では。
「っつぅ……。ここは……?」
漸く目を覚ました猟斗は、その長い眠りの反動の頭痛と眠気に悩まされていた。
それに加え、体の節々が鈍痛を放つ。
彼はそんな中で、寝た状態で見れる範囲を見渡す。
自分が寝ているのはベッド。鼻につく消毒液のような匂い。
それらの情報から、彼は自分がどこかの病院か何かにいるのだろうと考える。
そして、今の時間を壁に掛かっていた時計で確認する。
そんな時、医務室のドアが開かれる音を、猟斗は聞き逃さなかった。
(こんな時間に、誰だ?)
そう思いながらも、彼は重い体を起こさず、再び寝ようかとも考える。
「猟斗ぉ……猟斗ぉ……」
その中で聞こえた、消え入りそうなリーリアの声が、猟斗の目を覚まさせた。
「リーリ……ア?」
「猟斗……!!」
思わず呟いた彼女の名前に反応したように、リーリアは猟斗の寝ているベッドにふらりふらりと歩み寄る。
猟斗は節々の鈍痛に堪えながら身を起こし、暗がりの中で彼女を見た。
今にも崩れてしまいそうな、そんなリーリアの様子に猟斗は驚かされる。
そして、彼女がベッドの横に辿り着いた時。
リーリアは、猟斗の顔を見詰めて黙ってしまった。
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