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「リー……リア」
「猟斗……」
しばらく、その状態にあって、沈黙を破ったのは猟斗だった。
彼は少し恥ずかしそうに彼女の名前を呟くと、それに反応するようにリーリアは猟斗の名前を呟く。
「どうしたんだ?一体……。何時も元気なお前らしくないぞ?」
「私は……元気、だぞぉ?ふふふふふふ……」
猟斗の言葉に、リーリアは妖艶な笑みを浮かべて返す。
その様子が、猟斗にとってかなりの違和感を感じさせていた。
「猟斗こそぉ……。何か変だよ?ぜぇんぶ、悩みがあるなら私に教えて欲しいなぁ」
「…………そうか?」
リーリアの口調に違和感を覚えながらも、心なしか核心を突かれたような気がした猟斗は、尋ねるように答える。
実際、猟斗の胸の内には色々と悩みがあった。
駿や燈谷の事。狭間のピエロや、時空の皇女の事。
しかし、それを言って良いモノなのかと、猟斗は考える。
そして、彼は今はそれよりもリーリアの様子の方が心配になっていた。
「俺は別に、大丈夫だ。それよりもリーリア。お前の方こそ何かあったのか?」
猟斗の言葉に、リーリアは顔を俯かせる。
何か触れてはならないモノに触れたか?
そんな事を考える猟斗だったが、リーリアはすぐに、顔を上げて変わらない“妖艶“な笑みを浮かべた。
「それよりもさぁ、猟斗。質問してもいいかな?」
「あ?……ああ」
再びの違和感。
猟斗はいきなりの事に、一瞬唖然となる。
しかし、少し間をおいて答えると、リーリアは自分の両手を猟斗の頬に触れさせた。
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