第六章 俺の戦い

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今までのやりとりが、この二日間で起こったことである。   そして今、猟斗は一人レムリアの街を歩いていた。   目的は一つ。ヴァルキリーを見つけて、レジスタンスの拠点に連れ戻すこと。   リーリア、フレイヤの二人はレジスタンスに参加する手続きを行っているので、一緒に行動していない。   猟斗もレジスタンスに参加する事を決めたが、手続きよりも先に、ヴァルキリーを探す事をリーリアとフレイヤに、そしてその参加における後見人となる祥子に頼まれたのだった。   「ったく。何で俺一人が……」   愚痴を零す猟斗だったが、彼一人というのも理由があった。   リーリアとフレイヤは、回復法術が使える。   軍の基地が壊滅的なダメージを負った今、必然的に回復が出来る者が衛生兵として病院に収まりきっていない怪我人を回復しなければならない。   リーリアはともかく、フレイヤはそれ方面の方が得意だった。   猟斗は、元々戦闘でのみその力を発揮出来る人間である。   故に、役所が今はない。   参加してからの部隊配属が決まるのにも時間がかかると、祥子が言った。   だから、猟斗は先に人捜しというわけである。   「あーもう、厄介なことしてくれたよ……ヴァルキリー」   街で買ったドーナツを食べながら、猟斗は歩き回る。   そんな中で、猟斗は意外と自分が有名人という事を知った。   その原因は、アリアで行われた剣舞祭がこの地域のテレビでも放送されていた事である。   ちなみに、この世界の文明は、通信機器を除いて猟斗達の元いた世界と殆ど変わらない。   それも地域によりバラバラであるが、法術を兵器に利用するこの都市だ。   恐らく、科学力かなり高い方なのだろう。   「ヴァルキリー……。どこいんのかな……」   一部、彼をテレビで知っていた者達にもみくちゃにされた猟斗は、重い足取りながらも歩き続ける。   しかし、情報は微量ながらも手に入れていた。
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