第六章 俺の戦い

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「あー……それっぽい嬢ちゃんなら、町外れにある酒場で見たぜ」   もみくちゃにされた時、手に入れたヴァルキリーの情報。   何やってんだあいつ、そう思いながら猟斗は教えられた町外れにある酒場へと足を運ぶ。   日も沈み、すっかりと月が昇った時間。   賑わいを見せるそこに、猟斗は辿り着いた。   「ここか……?」   所々剥がれた外装、痛んだ木製のデカデカと酒場と書かれた看板を掲げる、しかし大きめな酒場。   ドアは着いておらず、完全に解放状態で、中の喧騒や灯りがただ漏れている。   「本当にここにいんのかぁ!?」   猟斗の中でイメージするヴァルキリーは、この酒場とは寄り付かなかった。   だから、素っ頓狂な声をあげ、信じがたいと思ってしまう。   しかし、これが唯一の情報だ。   猟斗は気を取り直し、ストライクリレイピアの納まった鞘を付けている、肩から掛かっている袈裟型のベルトを締め直す。   酒場では、何が起こるかもわからない。   万が一に備え、猟斗はストライクリレイピアがしっかりとあるのを確認し、中へと入っていった。     「いらっしゃいませー!」   入った瞬間に、入店した客への挨拶をしたウェイトレスらしき少女に目をやる猟斗。   「…………はぁ」   その顔を見た瞬間、猟斗は溜め息を吐いた。   髪は金髪で降ろしていて、瞳は碧。黒縁のメガネをして、まるでメイド服のような服を着込んだ少女。   しかし、その声は。   ヴァルキリー・ガンエデンその人だった。   「何やってんだアイツはぁ」   その姿を見て完全に脱力した猟斗は、再び素っ頓狂な声を上げた。
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