第六章 俺の戦い

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猟斗はその後、ヴァルキリーらしき少女に声をかけようとしたが、余りにも忙しそうだったので一時的に止める。   とりあえず彼は、カウンターの席に着いて客が減るのを待つことにした。   「お客さん、何にしますか?」   猟斗が置いてあったメニューに目を通していると、店長らしき男性に尋ねられる。   「そうだな……」   彼はそう言うと、スパゲティとジョッキビールを頼んだ。   男性はかしこまりましたと答え、厨房に入って行く。   猟斗はとりあえず、これからどうしたものかと考えた。   ヴァルキリーらしき人物、彼女に話しかけようにもなんだか気まずい。   そんな事を考えていると、どこからか聞こえてきた歓声が猟斗の耳に入ってきた。   「なんだなんだ……?」   「っのクソ野郎!」   「やっちまえ!兄貴!!」   「ふん、俺様をなめんなよ!」   誰かが喧嘩を始めたらしい。   床に倒れている青年は口から出ている血を服の袖で拭い、睨みながら言葉を吐く。   一方、相手の筋肉隆々でスキンヘッドの大男は余裕綽々な笑みを浮かべ、指の関節を鳴らしていた。   「あれ、あいつ等は……」   猟斗は、彼らに見覚えがあった。   そう、アリアで行われた剣舞祭。   そこで猟斗に絡んできた二人が、その場で誰か知らぬ青年に喧嘩を始めていた。   「ありゃあ……マズいな」   歓声涌かす野次馬の隙間から喧嘩を覗く猟斗は、一方的にやられている青年を見ながら呟く。   「また喧嘩か……。いい加減にして欲しいもんだな」   「どういう事ッスか?」 いつの間にか、料理とジョッキのビールを持ってきたらしい男性が呟く。   それを聞いて、猟斗は何気なく尋ねた。   「ああ、最近あの二人。ここに入り浸って暴れまくっててな。誰か止めてくれないもんかね」   「そんなに困ってんスか?」   「そりゃもう。もし止めてくれんなら、報酬払っても良いくらいだよ」   猟斗の尋ねに、男性は苦笑しながら答える。   (いいことを思い付いた)   男性の答えに、猟斗は何か閃いたようで顔をニヤリと歪ませる。   「おっさん。あいつ等止めたら何かくれんだよな」   「あ、ああ。でも一体誰が――」   「俺が止めてきてやるぜ」
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